不動産で生じる問題

「賃貸物件の契約違反」に関するトラブルの解決方法について
1 契約の解除

マンション、アパートなどの賃貸物件について、
 
① 賃料の未払いがある(民法601、541条)
② 賃借人が無断で建物に造作を加えている(無断造作禁止特約違反)
③ 決められた使用方法以外の用法で使用している(民法616、594条)
④ 第三者に無断で転貸・賃借権の譲渡をしている(民法612条)
 
など、賃借人に契約違反の事実がある場合には、事前の交渉により契約違反の事実の改善を促すことも肝要ですが、それでも改善されない場合には、契約関係を解消するため、賃貸借契約を解除し、物件の明渡しを求めることができます。
その際には、原則として、契約の解除前に、上記①ないし④などの契約違反の状態を止めるように催告することが必要ですが、上記催告と解除の意思表示を同時に行うこともできます(これを「停止条件付解除」といいます)。
なお、賃貸借契約の解除は、契約の相手方である賃借人に対して、「口頭」で行うことでも成立しますが、配達証明付き内容証明郵便などの「書面」により行うことが後日の争いを防ぐためには有用です。
賃貸借契約の解除が有効に成立すれば、その後は不法占有の状態となり、同日以降は、「賃料・家賃」としてではなく、賃料・家賃と同額の損害金(これを「賃料相当損害金」といいます)として、金銭の支払義務も継続することとなります。

 
2 任意の明け渡しが期待できない場合
(1) 民事裁判
しかし、賃料支払などの催告や停止条件付解除の意思表示を行ったにもかかわらず、賃借人側に転居のための費用がないなどの理由から、任意での明渡しがなされない場合もあります。
その場合には、物件の明渡しを求める民事裁判を提起し、判決を言渡しを受けたり、または、裁判上の和解等を行う必要があります。
また、実際に建物を利用している入居者が次々と入れ替わっている場合(いわゆる「占有屋」などの被害を受けている場合など)には、物件の明渡しの裁判を提起する以前に、占有移転禁止の仮処分を行い、裁判の相手方(被告)を固定化する必要があるケースもあります。
 
(2) 強制執行
それでも、任意に明け渡しがなされない場合には、執行官に対し、建物明渡しの強制執行を求める必要があります。
執行官により強制執行手続においては、多くの場合、約1か月の「明渡催告手続」がとられ、賃借人に最終的な退去までの猶予期間が与えられますが、原則として、最終の明渡し期日の延期は認められていないことから、強制的に明渡しを実現することができます。
なお、強制執行の場合、賃貸物件の中に、家具や荷物などの動産が残置されている場合には、原則として、これを搬出・保管する必要があり、その搬出・保管費用等は申し立てる側(家主側)において、裁判所に予納する必要があり、その額は荷物の量に応じて異なります。

 
3 自力救済の禁止

他方、契約違反の事実があるからといって、自力救済は禁止されており、鍵を交換してしまう、ロックアウトしてしまう、賃貸物件の中の荷物を勝手に処分してしまう、などの措置を取った場合には、違法行為となり、後日、逆に入居者等から、損害賠償請求を受ける事態にもなりかねません(もちろん、その場合でも、損害の全額を賠償する義務があるわけではなく、賃借人側にも一定の「過失相殺」が認められる余地はあります)。
したがって、契約違反に対しては、法に従った対処が必要といえます。
当事務所では、賃貸物件の入居者の契約違反などのトラブルについて、随時ご相談を受けしております。

 
4 具体的な「手続きの流れや必要な費用等」などについて

  より詳しい賃貸物件の明渡しに関する手続・費用等については、「賃貸物件の明渡し」に関する手続きの流れ・必要な費用等
をクリックして下さい。